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マカロニほうれん荘 61〜80話

■061話 乙女のスクイズ!! 78/07/17(30号)

扉ページが独立していない回。
子供の野球の試合が舞台で、学校や下宿が舞台の回から変化がつけられている。
ここでの膝方は子供達の前で心優しいお兄さんであり、毎回毎回ハチャメチャであるわけでもなくなっている。一方きんどーは、57、58、59話に続いてかなり困った人として描かれている。
また、絵柄が微妙に違ってきている気もする。

5巻157ページ1コマ目:右手に大きな川と土手があり、杉並区井草近辺ではない。

5巻159ページ7コマ目、167ページ2コマ目、170ページ97コマ目:膝方さんのこういうセリフが以前にはない“まともさ”を感じさせる。

5巻171ページ3コマ目:クマ先生、そうじくん、弘美ちゃんのノリ方も素晴らしい。野球の最中にこんな遊びも入ってきたらさぞ楽しいだろう。

■062話 夜明けのフラッペ!! 78/07/24(31号)

マカロニほうれん荘は全部で123話なので、この回が折返し点、ちょうど真ん中の回である。
夜の場面の多い回だからということもあるが、絵柄がこれまでとやや違っている。かけアミで影をつける処理が多く、少しくどい。文子先生など特に暗い雰囲気になっている。絵柄の変化は今後いろいろと試行錯誤が続いてゆくが、作者は自分の絵のスウィートさが自分で気に入らなくなってきたのではないか。

5巻175ページ1コマ目:菱形の口でないが、むしろ面白い。

5巻177ページ3コマ目、178ページ2コマ目:こういった言い回しのセリフは米国の映画やTVドラマからの影響だろうか。今後増えてくることになる。

5巻185ページ4コマ目〜187ページ5コマ目:非常に長いセリフがいくつも続くが、正直言ってイマイチである。この回が文庫版選集に選ばれているのは意外だ。

■063話 青春の局地戦!! 78/07/31(32号)

絵柄的には前々回、前回を踏襲している感じだ。しかし次回64話ではまた従来の絵柄に戻っており、絵柄実験はこの回で一旦終わっているようである。

5巻190ページ2コマ目:女子バレーボール部だが、8話で出てきたキャラクター達ではない。

5巻194ページ3コマ目:「スチャラカ社員」は関西のTVコメディ番組。

5巻196ページ7コマ目:ハナ肇。

5巻197ページ4コマ目:左卜全。

5巻198ページ5コマ目:軍人勅諭。

5巻199ページ1コマ目:きんどーさんは興福寺の天燈鬼像。膝方さんは何だろう? なんとか上人立像?

■064話 大宇宙のミドルエイジ!! 78/08/07(33号)

前の2回に比して、絵柄が従来の明るいものに戻っている。カラーページなので中間色表現にかけアミを使う必要がなくなったというのもあるかも知れない。
話はきんどーさん主体で展開し、彼の傲慢な気質が反感を覚えるほど前面に出ている。膝方さんは殆ど出てこない。
日の丸屋のオヤジが初登場する。馬之助、テディ・ボーイ・ギャング団、クマ先生、稲子ちゃんも適材適所の配置だ。

扉絵:手前の女性は昭和初め〜20年代くらいの少女雑誌の表紙絵(中原淳一など)にタッチを似せているようだ。

6巻6ページ7コマ目:きんどーさんは戦争経験者だが、終戦時には8、9才で従軍はしていない筈である。

6巻7ページ6コマ目:既に何回も出てきているが、強烈な印象を残す顔。

6巻15ページ1コマ目:「香港へ……」は昭和期、男性が女性に対して使った品のないセリフの一つ。

6巻15ページ6コマ目:女の子達がノってくれている。

6巻17ページ1コマ目:そうじと弘美のペアルックがかわいい。

6巻19ページ7コマ目:今回の話とは関係なく七味とうがらしが無言で登場し、最終焉に向けて歯車が一つ回る。七味は全体の流れのキーポイントになっており、作品に暗い影を落としている。

■065話 乾盃のララバイ!! 78/08/14(34号)

絵柄は前回と同じくマンガと劇画がほどよくブレンドされたもので大変美しい。
話の内容は前半がトリオの仲の良い会話、後半が55話でちらっと出てきた中嶋家のゴタゴタについて。時々ある前後半くっきり分かれているタイプの一編だ。
前半の会話は以前ほど強烈な奇行に結びついていかないため、落ち着いているというか、会話として滑稽なだけという感じがしなくもないが、三人がこんな雑談をしているだけでも楽しくはある。

6巻22ページ1コマ目:ほうれん荘では部屋のみならず庭もよく舞台になる。

6巻29ページ6コマ目:東京ローズは旧日本軍が太平洋戦争中連合国に向けて流した謀略放送の女性アナウンサーの一人に米軍兵士がつけた愛称。

6巻36ページ6コマ目:膝方一人が騒ぎから離れて呆れ顔でいる。以前なら考えられないことだが、七味的な沈着さが膝方にも現れてきているのか。

■066話 エーテルの乾き!! 78/08/21(35号)

59話と同じくきんどーさんが孤立する話。

6巻40〜43ページ:前回前半と同系の、会話主体で比較的落ち着いた日常情景。

6巻44ページ6コマ目:雑誌では鴨川つばめ特集の増刊号発売のお知らせが掲載されていたスペースで、小口側にあったものがノド側に移されている。

6巻49ページ5コマ目:17話、24話、45話などでも見られるが、きんどーさんは除け者にされることを恐れている。10代20代の仲間の中で自分が40才であること、ワイワイと暴れ回る生活がそういつまでも続かないことを強く意識している。だからこそその日その日を楽しく過ごそうと一所懸命だし、周囲も巻き込んでみんなで楽しみたいという気持ちも人一倍強い。自己中心的な困った人ではあるが、根っこには誰でもが感じるような寂しさや焦りを抱えている。

6巻50ページ5コマ目、51ページ10コマ目〜52ページ4コマ目:江戸川乱歩「屋根裏の散歩者」のパロディー的アイデア。

6巻50ページ6コマ目:一方膝方さんは周りに無理なく溶け込んでいて、先のことはまだ心配していない。また今回も59話と同様“まともな側”にいる。

6巻53ページ8コマ目:これが何なのかわからない。避雷針か?

6巻54ページ8、9コマ目:ルミちゃんも普通の人からやや逸脱した存在である。

■番外編04 勇者よいずこ!! 78/08/25(増刊号)

スターシステム型スピンオフ作品第4弾で、増刊号掲載作の最後。話として山あり谷ありというほどではないが「いつものキャラクター達が違う設定の中で演技をしている感」が極めて強い。作者はスターシステムの楽しさをよくわかっていて、ストーリーよりもその感覚にこそ力点を置いていると思われる。常連キャラが顔を出しているだけじゃないかという批判もあるかも知れないが、そここそが肝なのだ。読み終えたあと読者は、菠薐荘を舞台とした本編もまた数ある作品世界の一つに過ぎずキャラクター達が各自の役を演じているのではないかと思わざるを得ない。
ドラネコロックのキャラクターも多数登場する。

第二次大戦中のヨーロッパが舞台。結末以外はほぼ史実に忠実なようだ。といっても私は戦史に無知なので、wikipediaを見てそう思っただけなんですが。

7巻23ページ5コマ目:ヒグチ薬局の有名なCM。

7巻24ページ8コマ目:かおりさんの真剣な演技がいい。目に力がある。

7巻27ページ2、5コマ目:こうして背景にチラッとキャラクターが入るだけで楽しい。

7巻32ページ8コマ目:同じセリフが27話にある。

■067話 零下45度のディスコ!! 78/08/28(36号)

これが単行本第7巻の最初に置かれているのでついでに書いておくと、7巻のカバーイラスト右側、ルミちゃんの上、森田くんの下に描かれている後ろ向きの女性、これ誰なんだろう? 髪の色からして敦子ちゃんか麻美ちゃん? 敦子ちゃんとすればロングヘアが後ろに靡いているので画面に入っていないということになる。昔からちょっと疑問だった。

さて67話だが、18話のクーラー版。かおりさんが少し出てくる以外はトリオのみの展開。あっさり味ながらギャグの一つ一つは面白いし、まとまりもいいし、秀作だと思う。

扉絵:性横断的な表現の多いマカロニの特徴がストレートに出ている。

7巻9ページ8コマ目:天保八年は西暦1837年。大塩平八郎の乱があった年。

7巻10ページ1コマ目:この年、富士山では特に何も起こっていない。

7巻14ページ1コマ目:クーラー、当時は10数万したかも。

7巻15ページ2コマ目:きんどーさんのセリフに「満州娘」「酋長の娘」の一節が含まれているが、あとの曲は不明。

7巻19ページ9コマ目:良い意味で子どもの遊びの発想。

■068話 若きテディ・ボーイの悩み!! 78/09/04(37号)

タイトルはゲーテの小説のもじり。

扉絵:似顔絵かも知れないが誰だかわからない。

6巻76ページ5、6コマ目:チャーの発言や曲にこういうのがあるのかどうか、全く知らない。

6巻81ページ7コマ目:「パーマン」の替え歌らしい。

6巻82ページ2コマ目:27話に登場する祈祷師コンビと同系統の占い師である。

6巻85ページ9コマ目:この和歌は膝方さんのオリジナルか?

■069話 謀略のカーニバル!! 78/09/11(38号)

69話70話は2回連続回(ウルトラマンで言えばゴモラ、ウルトラセブンで言えばキングジョーの回)。
70話のあと2週間休載になり、作者の内面に何か変化があったのか、その後絵柄が大幅に変わり話の内容も徐々に変わってくる。この2回自体にはそれまでと違う要素があるように見えないが、大きな変化の直前に位置するという意味で期を画す回である。

扉絵:前回の扉絵と絵柄は違うが、ポーズ、アングルが似ている。

6巻93ページ2コマ目:膝方さんはきんどーさんよりは常識の通用する相手として捉えられている。七味先生登場以来そういう方向に彼の性格付けが変化したように思う。あるいは膝方のおフザケは仮面であることになりつつあるとでも言うか。ここでそうじはきんどーさえいなければ膝方は誘発されないと見ているようだ。
一方きんどーさんの自己中心性や押し出しの強さは地であり、ちょっとしんどい相手。そういったキャラクター分けになってきている。

6巻94ページ1コマ目:きんどーさんのこのセリフの続きは65話(6巻26ページ4コマ目)で読める。

6巻100ページ7コマ目:中嶋さんのお父さんとお手伝いの佳世子さんであるが、夫婦を描くところ作者が勘違いして佳世子さんを描いてしまったとも考えられる。それともこれでいいのかな?

6巻103ページ:さすがにちょっと無理のある展開だが、第一目撃者をルミちゃんにすることで無理をやや緩和しているということか。

6巻103ページ8、9コマ目:ギャグマンガのため、弘美ちゃんに限らずキャラクターの心底シリアスな表情は普段あまり見られない。それだけにこういったコマでの表現は見ものであり、作者がギャグのないマンガを描いたらどうなるかを読む者に想像させる。

■070話 愛のカクテルコーヒー!! 78/09/18(39号)

扉絵:アイルランドのバンド、シン・リジーの「ライヴ・アンド・デインジャラス」(1978年)のパロディーと思しい。シン・リジーのフロントマン、フィル・ライノットは膝方に似ていなくもない。

6巻108ページ1、2コマ目:この2コマの繋ぎ、独特の音楽的リズム感があり面白い。

6巻109ページ5コマ目:サンダーバードの出動シーンを参考にしているような気がする。

6巻110ページ2コマ目:こちらはウルトラホークの出動シーンか。

6巻116ページ3〜5コマ目:エキストラ陣によるギャグだが、楽しい。

6巻116ページ6コマ目:井草近辺ではない。東京なら多摩川か荒川あたりがモデルになったような風景。

6巻119ページ2コマ目:誤解したなりの理由もあるので、彼女が謝らなければいけないわけでもない。

6巻119ページ7コマ目:休載のお知らせが載っていたと思われる。

■071話 愛と微笑みの世界!! 78/10/09(42号)

この回の前に2週の休載があり、そのせいという訳でもないのだろうが休載後には作風の変化が顕著になってきている。
変化の一つが絵のタッチだ。61〜63話で試みた絵柄に近くなっている。線にやや勢いがなくなっているようにも見え、その分丁寧な感じ、或いはくどい感じもする。ぱっと見では暗い印象だ。キャラクター別に見ると、この回ではきんどーさんとかおりさんが特に変化しているようである。124ページ8コマ目〜125ページ1コマ目に見られる4コママンガのような絵も今までありそうでなかった。

今回は話としては前々回、前回に取りあえず決着をつけることが主たるテーマ。「愛と微笑みの世界」はバリー・マニロウの78年の曲「Even Now」の日本語タイトル。

6巻122ページ2コマ目:休載明けのためこのセリフである。

6巻124ページ4コマ目:この本が実在するかググってみたが不明。

■072話 愛のメモリー!! 78/10/16(43号)

タイトルは松崎しげるの曲名だろうか。また、扉絵がとてつもなく凄い。失礼ながらこれは作者のオリジナルアイデアなのか?

6巻144ページ2コマ目:ラッシーは105話でクローズアップされるが、アメリカ映画の吹き替えみたいな喋り方をする犬で、休載後の変化を体現しているキャラクターの一人(一匹)と言える。

6巻145ページ3コマ目:ほうれん荘がこんな風に表現されている。それまでとちょっと趣きが違って見える。

6巻145ページ3コマ目〜:後半はトリオ中心のいつもの奇妙な日常風景。しかし絵柄のせいもあってか、ギャグの背後にあるべき生活世界の存在感が今ひとつ出ていないような気もする。作者の中で同系統の話がマンネリ化しているということもあるかも知れない。

■073話 青春の離陸!! 78/10/23(44号)

5組は23話から登場していたのだが、この回では改めて不良高校生に焦点を当て、それまでのマカロニと趣向を大幅に違えている。そこそこ本格的に荒れた学校になっており、今後も若者や社会の荒んだ面の描写はしばしば現れるようになる。そうじを中心とした優等生的生活描写、あるいはそうじ個人の優等生性に作者が飽き足らなくなり、苛立ちを感じ始めているようにも見えなくない。

扉絵:大正末期・昭和初期風のモガと呼ばれるお洒落な女性達。左端は今回初登場の少女A子ちゃんだが、ここでは本編とは無関係なキャラクターになっている。モガスタイルの似合う女性が本編ではスケバンを演じていると考えると何とも面白い。

6巻154ページ1コマ目〜156ページ2コマ目:156ページで花村町子先生と呼ばれている女性教師の授業風景。荒れる教室を表現するためにはクマ先生や文子先生ではダメで、新しい無名の人物が必要になった。45話でルミちゃんを新顔のチンピラに襲わせたのと同じ手法。いわゆるマカロニほうれん荘の仲間達を絡めると甘さが出てしまいハードエッジな描写にならない。
作者はこのころ、自分のマンガの「甘さ」を嫌っていたのではないか。そのきっかけは案外、パンクや初期ニュー・ウェイブといった音楽と自分の作品を比べたことだったのかも?

6巻155ページ9コマ目:日本映画「高校大パニック」(1978年)のセリフ。

6巻158ページ1コマ目:犯罪である。以前も車を盗んでくるなど犯罪的おふざけはあったがギャグの中に吸収されていた。ここではもっと違法感を剥き出しにしようと意図しているようだ。

6巻159ページ7〜9コマ目:浅田飴には発売当初「クール」と「ニッキ」2種類があった。

6巻163ページ4コマ目:膝方は不良学生とも自然体で接することができる。「少女A子」というネーミングだが、中森明菜の「少女A」は82年の曲でこのマンガより後。

6巻164ページ10コマ目:膝方の恋愛への姿勢を象徴的に表現するコマ。58話でそう子ちゃんから逃げたのと同様の態度である。恋愛関係になるくらいなら夜逃げした方がいいということ。それほどまでに恋愛を恐れている。しかも彼はそういう自分をしっかり意識している。52話での無理やりのお見合いで恐怖症に陥った可能性もあるが、どこにもそうとは描いていない。

6巻165ページ6コマ目:50話でそうじを誘拐、53話ラストにちょい出、55話でグレて、60話で諦めきれず、65話ラストでほうれん荘に押しかけ、今回73話で不良仲間との縁切り宣言という流れである。55話が派手なためもうそうじを諦めたかにも見えたが、こう追っていくとまだ狙い続けているようでもある。

6巻167ページ3〜6コマ目:素晴らしくメルヘン的。

■074話 女神へのキャラバン!! 78/10/30(45号)

化粧品の飛び込み販売というキツい仕事を題材にしている。ビジネス感が強いこういった題材の選び方も、社会の厳しい部分に目を向けようという意図があるのだろうか。
全体的に今ひとつの原因としては、前半6ページの一般人の造形や表情の描き方がくど過ぎるという点や後半の馬之助が面白くないという点がある。特に前半、エキストラの描き方は存外世界観に影響している。ここではアメリカンコミックのような(?)テイストに近づいていて、丁寧に書きすぎることで逆に奥行きが浅くなり、場(ば)自体が特殊なものになってしまい、ごく普通の日常空間で二人が暴れるというこれまでの図式が崩れている。
場自体が特殊なものになる発想はマカロニ以前の「呪われた夜」や「激殺!福岡拳」でも見られる。

6巻172ページ4コマ目:きんどーさんとキングコングの組み合わせも「呪われた夜」を連想させる。

6巻173ページ3〜5コマ目:「ウルトラQ」のオープニングのパロディー。

6巻175ページ8コマ目:三波春夫。

6巻176ページ6コマ目:もう少し穏当な言葉にしてほしかった。

6巻177ページ:オチはあるものの大人っぽい描写で、今までのテイストからの脱却を狙っているのか。

6巻181ページ4コマ目:ここから先は「馬之助」が「馬之介」になっている。なぜ「先生」なのか不明。

6巻182ページ7コマ目:31話で触れた例外。

■075話 天使の錬金術!! 78/11/06(46号)

6巻187ページ2コマ目:現在ならフォトショップなどを使って割と手軽にできることを作者は当時から発想していた。

6巻189ページ5コマ目:膝方は興福寺の阿修羅像。

6巻192ページ3コマ目:5話に同じセリフあり。

6巻194ページ1コマ目:作者がロック好きだとわかっていると、つい「これもロックと関係あるのか?」などと考えてしまう。ケヴィン・エアーズ(およびブライアン・イーノ、ジョン・ケイル、ニコも参加)の「June 1, 1974」というライヴ・アルバムが「悪魔の申し子たち」という日本語タイトルなのだ。

6巻194ページ3コマ目〜199ページ:こういった疾走感はやはり圧倒的に素晴らしい。

6巻199ページ1コマ目:滅多に見られないが最終手段に出るそうじ。流石ほうれん荘トリオの一員だ。

絵柄は暗くなっているが日常生活ものという従来の世界観は壊れておらず、休載前の作風が好きな人には大いに楽しめる回だろう。

■076話 45口径の枯れ葉!! 78/11/13(47号)

前回に続きベタの多い暗めの絵柄。
世界の有名な美術品がパロディ化されており、けっこう面白い。
また何よりも、この回は登場人物達の仲の良さがはっきり伝わってきて実に心温まる。とにかくみんな元気で仲良く(広い意味で)してくれていること、そんな世界が誌面の向こうにあること、それさえ分かればマカロニほうれん荘の読者としては大満足なのである。

6巻205ページ8コマ目:こんなシルエットの処理も今まで殆ど無かった。

6巻209ページ2コマ目:奥の方に何故か手錠をかけられた人がいる。

6巻214ページ4コマ目:ピカソ風。特に「ゲルニカ」を思わせる。

6巻215ページ1コマ目:きんどーさんはダ・ヴィンチの「モナリザ」、膝方さんはモディリアーニの何か。

6巻215ページ3コマ目:印象に残る非常に美しいコマである。巨大な月、古ぼけた電柱、真っ暗な夜道を同じ家に向けて歩く四人……休載後の絵柄が気に入らんみたいなことを書いてきたが、この絵は素晴らしい。単行本第6巻のラストシーンだが、一冊の最後にこの絵があるのも深い余韻を残す。

■077話 水の中の太陽!! 78/11/20(48号)

この回も休載前の世界観を引き継いでいる。

扉絵:マカロニ軍団総登場で秋の音楽会。2〜3頭身でメルヘンチックだ。

6巻56ページ2〜4コマ目:歴然とした犯罪。警察沙汰になりかねないところが2話や7話の流れを汲んでいる。

6巻57ページ4コマ目〜58ページ2コマ目:「別場面スリップ法」。

6巻58ページ7コマ目〜59ページ1コマ目:これもまた「別場面スリップ法」。

6巻61ページ1コマ目〜:このあたりから最後まで大変なスピード感だ。

6巻61ページ9コマ目:「め組」は江戸時代の火消しの一つ。

6巻67ページ2〜5コマ目:日露戦争時のエピソードに基づいている。

6巻68ページ3コマ目:膝方さん、やはり頼りにされている。そしてバカをやりながらも今回は特にカッコいい。

■078話 銀嶺の覇者!! 78/11/27(49号)

アニキを慕うミルキーさんが登場する回。彼女はこの回だけの出演だが、更なる登場も可能なだけの強い個性がある。
「銀嶺の覇者」はリッチー・ブラックモアズ・レインボーの曲「Man On The Silver Mountain」(1975年)の日本語タイトル。

扉絵:ハードな感じのイラストで、なんだか作者が自身の絵のスウィートさを扉絵で中和したいと思っているようだ。

7巻38ページ2コマ目:テディ・ボーイ・ギャング団の住んでいるのは「可愛荘」だと判明。「可哀想」という意味か。

7巻40ページ8コマ目:アニキがミルキーさんに邪険にするのは、容姿が好みでないからなのか女性が性欲を表明するのが気に入らないからなのか。

7巻44ページ2コマ目:少女マンガ風。

7巻44ページ6コマ目:このアニキの友人も個性がある。今で言う「チャラい」男。

7巻46ページ2コマ目:性欲があるのは普通のことで「デビル」ではない。

7巻47ページ5コマ目:ミュージシャンだと思うが誰だかわからない。

7巻48〜49ページ:いつの時代も売春は経済苦と直結しているので、当の女性に問題があるかのような描写は無謀である。

7巻51ページ1コマ目:これもミュージシャンだと思うが誰だかわからない。

アニキもまた作者の視点を内に持つキャラクターであり、「女性の性の開放が行き過ぎていないか?」という作者のオピニオンとも受け取れるような回。ラストはそれまでの流れと少しずれている気も。

■079話 日はまた昇る!! 78/12/04(50号)

タイトルはヘミングウェイの小説に!!マークを付けたもの。
七味とうがらしの一夜を描いた回で、彼が出づっぱりである。七味のギャグは膝方のそれを受け継ぎながらも、いくぶん理知的な感じ。
絵はアメリカンコミックに影響されたようなカッチリした絵だ。
分量は13ページしかない。

扉絵:女性はオリヴィア・ニュートン・ジョンに見える。

7巻56ページ5コマ目:女性といちゃつきながら電話してくる編集者、いそうな気がする。

7巻60ページ6コマ目:こういうのが本来の膝方。

7巻62ページ〜65ページ2コマ目:七味は「まともな側」「ツッコミ側」で、狂っているのは街の方という図式。そこが従来の膝方と違う。

7巻64ページ:このイラストは見事だ。

■080話 ゴールド・ラッシュの歴史!! 78/12/11(51号)

ほうれん荘とその近所のトワイライトタイム。夕食前の一風景で、動きはあるが比較的落ち着いた印象の回。従来のテイストが保持されている。

扉絵:ややリキテンスタイン風?

7巻73ページ7コマ目:「思案橋」は長崎市の繁華街名でもある。

7巻74ページ2コマ目〜78ページ3コマ目:作者一流のリズム感と疾走感。

7巻80ページ1〜6コマ目:初代若乃花と初代貴ノ花の花田兄弟。この部分、全体の中でどういう位置づけなのか全くわからない。

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